【驚愕】櫨負けは時期によるもの?!
これは櫨の実を採取したものですが、「櫨=かぶれる」という話はご年配の方から往々にして聞いてきたのではないでしょうか。
というのも、今のように娯楽など発達していなかった頃、山遊びをしていた時に櫨の樹液によってかぶれる事があったため、櫨は危険なイメージが定着したのだと考えられます。
夏の草刈りでも負けてしまう事があるように、花を咲かそう!実を付けよう!とする春〜夏にかけて、植物は自分の身を守るための成分を出しているのだとのこと。
反対に櫨でいうと、秋〜冬にかけて葉が落ち、実の部分だけ残るとそこから腐敗し病気の原因になる事から「ちぎりこ」と呼ばれる方々からちぎってもらわなければなりません。
この時期では櫨によってかぶれる事はないと言います。
蒸し上がった実は、「玉締め式圧搾機」で蝋分を絞り出します。
機械の中でもとくにヴィンテージさを感じるこの圧縮機。
昭和12年に製造され現役で働く「玉締め式圧搾機」では日本で唯一のもの。
またこの一連の作業は江戸時代から続く方法を大事に守り通しています。
薬品を一切使わずに油を絞るため、人にも環境にも優しい木蝋が生産されています。
現在木蝋を製造している業者は全国で福岡県、愛媛県、そして長崎県は島原の3軒のみです。
<木蝋を生産をするようになったきっかけは…>
今から約200年前、寛政4(1792)年、大地震による眉山崩壊で大津波が発生し、城下町を襲う「島原大変肥後迷惑」が起きました。
島原藩は火山灰に強いハゼノキ10万本を植え、木蝋生産に力を注ぎ、財政を立て直しました。
そのハゼノキは平成3年には、「雲仙普賢岳噴火災害」が起こり、櫨の木が火砕流で消失するなど、壊滅的な被害を受けました。
その後、最近では木蝋の必要性を見直した有志が集い、時間をかけながらハゼノキを増やしていますが、まだまだその木の数は足りず、全国的にも慢性的な原料不足が続きます。
【参考資料】
化粧品(24%)/口紅、眉墨、クリーム、ポマード、チック
和蝋燭(13%)
文房具(8%)/ボールペン、フィルム、クレヨン、クレパス、鉛筆、カーボン紙
医薬品(8%)/軟膏、座薬、乳剤、外科用包帯
工業品(7%)減摩剤用、油滑剤
輸出用(40%)
案内してくれた代表の本多俊一さん。
島原で木蝋文化を絶やさぬよう、活動を続けたいと話しました。
【本多木蝋工業所】
○〒859-1413長崎県島原市有明町大三東丙545
○駐車場有り:大型観光バス可
○TEL.0957-68-0015
○HPはコチラ