肥前島原子ども狂言 其の六

教育/しましま

2018/11/14 14:00

ついに本番!島原城でのひのき舞台!

歴史と伝統のある古典芸能を継承する肥前島原子ども狂言。

改めて説明します。
狂言とは、日本の中世に完成された大衆喜劇のことです。庶民の風刺とユーモアが笑いを誘います。今の私たちと変わらない、当時の人々の姿が見えるようです。

15年目となる狂言ワークショップ「肥前島原子ども狂言」。和泉流狂言師 野村万録さんのご指導のもと、島原城薪能の舞台での発表を目標にこの日まで稽古を重ねてきました。

2018年10月13日にお披露目された受講者35名(3歳~18歳)による晴れ舞台をご覧ください。



肥前島原子ども狂言 其の一はこちら
http://shimashima.adthink.net/feature/education/20180519kyougen/Posts.html

肥前島原子ども狂言 其の二はこちら
http://shimashima.adthink.net/feature/education/20180606kyougen/Posts.html

肥前島原子ども狂言 其の三はこちら
http://shimashima.adthink.net/feature/education/20180707kyougen/Posts.html

肥前島原子ども狂言 其の四はこちら

http://shimashima.adthink.net/feature/education/20180808kyougen/Posts.html

肥前島原子ども狂言 其の五はこちら

http://shimashima.adthink.net/feature/education/20181003kyougen/Posts.html






受講者全員による連吟「鶴亀の舞」
祝言用の曲です。
緊張に負けることなくお腹から声を出し謡いました。

【連吟】とは
素謡の一部を一人で謡うのが独吟、二人以上で謡うことを【連吟】といいます。




小舞「花の袖」。
あはれ一枝を花の袖に手折りて 月ををも共に眺めばやの 望みは残れり この春の望み残れり


【小舞】とは
狂言方が舞う舞のひとつです。短い舞が多い。




和泉流狂言「しびり」
シテ(仕手…能の主演者) 太郎冠者
アド(シテに対する相手役) 主


太郎冠者は主人から酒の肴を買ってこいと命じられます。
しかし遠くに出かけるのが面倒だと思った太郎冠者は、仮病を思いつきます。
主人はすぐに太郎冠者の仮病を見抜いてしまいます。いったいどんな仮病でしょうか?
(第36回島原城薪能冊子より抜粋)

嫌なことを頼まれ、なんとか言い逃れたいというのは今も昔も同じのようです。
憎めない太郎冠者です。




小舞「兎」


あの山から この山へ
飛んできたるは 何じゃるの
かしらに二つ ふっぷっと
細うて 長うて
ぴんとはねたを ちゃっとすいした うさぎじゃ

とても可愛いうさぎでした。




和泉流狂言「口真似」
シテ 太郎冠者
アド 主
小アド 某


主人から酒を共に楽しく飲む相手を連れてくるよう命じられた太郎冠者。
しかし、連れて来たのは酒癖が悪いと評判の男だったので叱られてしまう。
そこで主人は丁重に帰ってもらおうと太郎冠者に自分の言う通りに行動して、余計なことはするなと言う。ところが、太郎冠者は主人の口真似をすれば良いと勘違いしてしまい…。
三人の軽妙な言葉のやり取りが見どころです。
(第36回島原城薪能冊子より抜粋)




小舞「掛川」


ここをどこぞともし人問はば
ここは駿河の府中の宿よ
人に情を掛川の宿よ
雉の雌鶏ほろりとおといてうちきせてしめて
しよのしよの愛しよの
そぞろ愛しうてやるせなや


駿河の掛川の宿で出会った女が、愛しくてたまらない曲だそうです。




和泉流狂言「梟山伏」
シテ 太郎冠者
アド 主
小アド 某


弟の太郎は、山から帰ってきたきて以来具合が悪いようです。
そこで兄は、祈祷をして病を治してくれるように山伏に頼みます。
山伏が「いろはにほてと」と祈ると太郎は急に奇声を発します。
兄の話によると太郎は山の梟を下ろした(梟の巣にいたずらをした)といいます。
そこで山伏は、梟が取り付いたのだと言い出し梟の嫌う鳥の印を結んで一心不乱に祈り始めます。しかし、具合は悪くなる一方です。
いったいどうなってしまうのでしょうか?
(第36回島原城薪能冊子より抜粋)




(写真右下)13年目の麻希さんは今年で子ども狂言を引退となります。(写真上)生織さん・9年目、(写真左下)萌さん・6年目と共に精一杯演じました。




連吟「小鼓」


いとしの若衆との小鼓は
絞めつ緩めつの調べつつ
音いらぬさきに
鳴るか鳴らぬか
チチ タッポポ
いや 鳴るか鳴らぬか




島原狂言「釣ろうよ」
島原で庶民により語り継がれてきた狂言を原案とした島原のオリジナル狂言。
島原城解説委員で肥前島原子ども狂言の講師でもある松尾卓次先生による脚本と和泉流狂言師野村万禄氏の演出により平成18年に創作された狂言です。




島原の九十九島沖で鯛、がんばなど目出度い魚を釣りに行った太郎冠者は何を釣ってくるのでしょうか。
島原子ども狂言でおなじみの人気のある演目です。
今年は肥前島原子ども狂言15周年をお祝いし、歴史と文化を通じてさらなる発展を記念する「鯛釣り」でした。




夜の帳がおりようとしている島原城を背景に、美しい舞台。
空には糸のように細い月が光っていました。
昔の人々も同じように楽しんだのでしょうか。




こうして第1部・島原狂言は幕を閉じました。この後は神事・火入れの儀。篝火の灯りと共に第2部 薪能の幕開けとなりました。
演目は、以下の通りです。
宝生流仕舞『八島』小林晋也氏
『善知鳥』當山孝道氏
和泉流狂言『附子』野村万禄氏
宝生流能『羽衣』小林与志郎氏




子どもたちが、肥前島原子ども狂言を通じて、今の島原薪能が受け継がれている所以や歴史を知り、もっと知りたい!という好奇心旺盛な声も聞こえてきました。

たくさんの大人たちに支えられ、能舞台へ立つという貴重な経験の機会をもらった子どもたち。その感性の芽が、これからも豊かに育つ様が見えるような素晴らしい舞台でした。




【 野村万禄 】昭和41年(1966年)東京に生まれる。
故・野村万蔵(芸術院会員・人間国宝)の孫。 伯父の初世野村萬(人間国宝)に師事。
平成2年(1990年)東京芸術大学音楽学部邦楽科能楽専攻卒業。
平成12年(2000年)、二世野村万禄襲名。
野村万蔵家の別家を興す。
現在福岡在住。
国内外において数多く、九州各地に稽古場を開設。
一般にも広く門戸を開き狂言の普及と発展に努めている。
また、クラシックアンサンブルやピアノとの共演など幅広く活躍中。
平成16年(2004年)より島原子ども狂言ワークショップの講師を務める。
島原城薪能HPより抜粋
島原城薪能(島原城薪能振興会)

http://www.takiginou.jp/



【肥前島原子ども狂言/今後の出演予定】

「第39回島原市民音楽祭(邦楽の部)」平成30年11月18日(日)
島原文化会館 大ホール
13:30 開演

「長崎県子ども会伝承芸能大会」
平成31年1月20日(日)
有明総合文化会館
13:30 開演



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