「子どもの心にふるさとを」長崎県子ども会伝統芸能大会2019

教育/しましま

2019/2/1 18:00

昭和54年に始まり、2019年で40回目を数える長崎県子ども会伝統芸能大会が、1月20日に開催されました。

出演したのは、肥前島原子ども狂言、島原市立第二小学校不知火太鼓クラブ、島原市立三会小学校土搗唄伝承クラブ、三之沢浮立子ども会、有明の舞岳太鼓です。




【肥前島原子ども狂言】
演目:「鶴亀の舞」/小舞「花の袖」/島原狂言「釣ろうよ」

下町島原では江戸時代から能楽が演じられ、城内の能楽堂では庶民も藩主に招かれて演じていました。
このような島原の伝統芸能を子ども達にも伝えようと、平成16年に立ち上げられた「島原子ども狂言ワークショップ」。和泉流狂言師・野村万禄先生の御指導のもと、島原城薪能での発表を目標に、毎年稽古を重ねています。
今年度は15周年を迎えます。火山都市国際会議、ジオパーク国際ユネスコ会議の舞台で日本の素晴らしい伝統芸能として披露するなどの取り組みが認められ、平成28年には「島原半島文化賞」を受賞しました。

連吟「鶴亀の舞」
2018年第36回島原城薪能の晴れ舞台で披露した祝言用の曲です。

小舞「花の袖」あはれ一枝を花の袖に手折りて 月ををも共に眺めばやの 望みは残れり この春の望み残れり




島原狂言「釣ろうよ」は、島原で庶民により語り継がれてきた狂言を原案とした島原のオリジナル狂言です。





島原の九十九島沖で鯛、がんばなど目出度い魚を釣りに行った太郎冠者が釣ったのは...?!
島原子ども狂言でおなじみの人気のある演目です。

演出は流石の完成度!たくさんの大人たちに支えられ、能舞台へ立つという貴重な経験をした子どもたちの素晴らしい舞台でした。




【島原市立第二小学校不知火太鼓クラブ】
演目:「不知火太鼓」

政4年(1792年)雲仙岳の噴火のとき、多くの人々の命がなくなり、もう二度とこのようなことが起きないように祈りを込めて力強く打ち鳴らした太鼓が「不知火太鼓」の始まりです。 第二小学校の不知火太鼓クラブは現在11名。クラブスタートから長池要七先生の指導のもと頑張っています。




平成5年には「学習利用促進事業」の一講座として「子ども不知火太鼓」を開講、平成8年には島原半島民俗芸能大会に参加しました。平成21年には長崎県教育委員会表彰を受賞し、その後は毎年、市民音楽祭や敬老祝賀会など市や地域行事等に多数出演しています。




【島原市立三会小学校土搗唄伝承クラブ】
演目:島原土搗唄

昭和30年頃までの島原では、建物を新築する場合の基礎工事の土固め作業として、総て人力で作業がされていました。人力の結集と人夫の意気高揚などのために、作業唄として、また祝い唄として土搗(ドーヅキ)唄がうたわれていました。




三会地区では、その土搗を郷土の文化遺産として位置づけ、後世に伝える目的で平成6年に「島原土搗唄保存会」を発足しました。




現在会員は、老人会をはじめ、町内会・婦人会・育成会など約90名で構成され、三会温泉神社祭りの奉納踊りや島原温泉不知火まつり、三会ふれあいフェスティバルなど大人から子どもまで参加して活動しています。 平成30年3月には、島原市役所新庁舎起工式に参加し、土搗の実演を披露しました。




【三之沢浮立子ども会】
演目:八幡神社 浮立

古くから有明町三之沢八幡神社では、毎年8月下旬、風除祭が執り行われています。これは台風襲来の時季に台風から稲を守り五穀豊穣と氏子の安寧を祈願するもので、神輿の渡御が行われ、行列約100名になる地域総出のお祭りです。




浮立はこの渡御で御旅所までの道中(お下り・お上り)、大人達が笛と謡、子ども達がそれに合わせて太鼓を打ち奉納するもので、その笛・太鼓の音と様子がお祭り気分を一層醸し出しています。この伝統芸能を守り伝えていくことで、先人達の精神に触れ、故郷を愛する心と故郷を忘れない心が子どもたちの心に育まれています。




【有明の舞岳太鼓】
演目:明星

舞岳太鼓は、平成10年、童話の会「くすのき」のメンバーを中心に小学生から一般までの有志約20名で結成しました。




「舞岳」とは、扇状に広がる有明地区の南端にそびえる霊峰で、「舞岳のように勇壮に」との意味も込めてそう名付けられました。 結成翌年の、有明総合文化会館の落成式での演奏を皮切りに、これまで日蘭交流400周年記念イベントや市内の催し物、また敬老会や福祉施設での夏祭りなどで演奏してきました。 昨今メンバーの減少により、活動が縮小していましたが、数年前から地元の中学生が毎年文化祭で舞岳太鼓を披露し、そのための練習などを行っています。




閉会式では、長崎県子ども会育成連合会より全部の出演団体に、賞状と記念品が贈られました。

ふるさとに伝わる伝承芸能が、子どもたちの心と観客の心に残る大会となりました。



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