芳寿牧場・会長 平 芳紘さん
柑橘農家として口之津で生まれ育った平さんは、兄弟の進学など家計を助ける為に働き始め、36歳の時に養豚業を始めます。当時は、小面積でたくさんの豚を飼育する環境に疑問を持ち始めながらも、生活をしていく為には仕方ないと過ごす日々。
そんな中、SPF豚の存在を知ってからは、飼料会社と相談をしながらモデルとなりそうな養豚場に見に行ったり試行錯誤を重ね、全てを売り払い、2年間無収入という日々が続きますが、熱い想いを持ち続けひたすら目標に向かっていったそうです。「当時は、まだまだSPFという言葉も広まっておらず、その中で、芳寿牧場がSPFを認証されることは並大抵のことではなかった。」と、平さんは当時を振り返ります。
芳寿牧場は、平さんの名前から「芳」、創業当時、目標にしていた叔父の名前から「寿」を一字ずつとりつけた名前。
芳寿牧場・代表取締役 宮井 宏泰さん
香川県出身の宮井さん。大学で家畜管理学研究室で家畜の行動について研究後、大手の飼料会社に勤め、全国の養豚場などに出かけては改善策を提案していました。そんな中、芳寿牧場の営業担当となり平さんと出会います。芳寿牧場や平さんの人柄に引き込まれた宮井さんは、自身の結婚披露宴で父親代わりにスピーチをお願いしたそうです。
その後、宮井さんが芳寿牧場へ出向。5年が経った頃、平さんから宮井さんへ「ここでずっと働いて欲しい。」と説得。芳寿牧場での仕事にやりがいを感じた宮井さんは、飼料会社を辞め、芳寿牧場で働くこと決意。2020年4月からは代表取締役社長に就任し、平さんの熱い思いと芳寿豚の美味しさが引き継がれています。
「ここの養豚場は近くまで来ないとにおいがしないでしょう。」と誇らしげに語る宮井さん。全国たくさんの養豚場に行った宮井さんが、「ここのように、近くまで行かないと豚特有のにおいがしない場所は珍しい。」と言うほど、芳寿牧場では衛生的に養豚されている場所だということが分かります。
SPF認定証を26年間取り続けている芳寿牧場。
SPF認定は、300項目ほど審査項目があり毎年認定試験に合格しなければなりません。最初の認定から26年間連続で認定をもらう牧場は全国的にも珍しく、平さんは、日本SPF豚協会の代議員も勤めています。
▶︎SPF豚
・Specific(特定の)
・Pathogen(病原体)
・Free(無い)
の略で、日本では、肺炎・鼻炎など指定された病原体を持っていないという意味。
疾患に感染してないので、飼料に抗生物質を使用しなくても健康に育ちます。
他の豚や動物との接触を断ち、農場内への病原体の持ち込みを遮断して飼育されているので、関係車両以外の立ち入りは制限し、トラックなども十分に消毒、豚舎に入る人は直前にシャワーを浴びなければいけません。病原体の侵入を阻止するため、衛生的な環境を保つための配慮がなされています。
遠く海の向こうまで見渡せるこの場所は、宮井社長お気に入りの場所。
自然豊かな場所で大切に育てられる芳寿豚の美味しさは、この口之津町から日本全国へと広がっています。
【有限会社 芳寿牧場】
〒859-2504
南島原市口之津町丙792
TEL 0957-86-3359
【お肉屋ほうじゅ】
TEL 0957-86-5529